黄色の孤独

赤、青、黄色、白、黒、緑が「色仲間」というグルーを作って、いつも一緒に遊んでいた。あるとき、「赤」が「黄色」に言った。僕らはみな色だとわかっているんだから、「黄色」なんて言わずに「黄」でいいんじゃないの?「黄色」は「そういえば、そうだね。これから自分の事「黄」と呼ぶことにするよ」。数日後、「赤」は「黄」に言った。昨日コンビニのお姉さんが珍しく「赤い服」を着ていたんだ。いつもは黄色い服を着ているんだけどね。それで気づいたんだけど、君の名は「黄」になったんだから、僕と同じように後ろに「い」を付けて「黄い服」と言ってもいいと思うんだけど。「黄」はしばらく考えて言った。「うーん、でも、世間じゃ黄い服なんて言い方しないよ。やっぱり黄色い服と言うよね。」「赤」は言った。「僕ら色の仲間は「赤」「青」「白」「黒」のように、みな後ろに「い」をつければ色の様子が示せるじゃないか。君だけ名前の後ろに「色」を付けなければいけないと言うのはおかしいじゃないか。」「黄」は「そういっても、僕らの仲間の中にだって緑がいるけど、緑だって緑い服なんて言わないじゃないか。」と反論した。赤はしばらく考えてから言った。「僕らの仲間には異質なやつらが混じっていたんだ。君たち黄や緑は本当は僕らの仲間でなかったんじゃないか?」そんな話があってしばらくすると、黄色と緑は「色仲間」から脱会して、新しく「色付き仲間」を結成することにした。「色付き仲間」は黄色と緑だけでなく紫色や橙色も新しく仲間に加わった。「僕らは皆、名前の最後に色が付くんだ」と言って「色なしの色仲間より一段進歩した仲間のような気がして来た」。そんなある日、

「緑」が黄色に言った。「ぼくら色付き仲間は服の色を表わすのに、緑色の服とか、紫色の服とか、橙色の服とか言うけど、緑色い服とか、紫色い服とかは言わないよね。君はどうして「黄色い服」と言うの?」問われて黄色は少し考えてから「でもね、黄色い服と言う言い方だけでなく、黄色の服と言う言い方だってあるよ」と答えてはみたが自分自身でもちょっと釈然としない気持ちが残った。

帰り道で黄色は考えた。「僕は色仲間とも、色付き仲間とも違うのだろうか。」

 

 

 

 

なんだから、わざわざ「色」と付けないで僕みたいに「赤」